当事務所の牛見和博弁護士が、下記の事業承継対策セミナーを担当いたしましたので、ご報告申し上げます。
講 師 牛見和博(弁護士・中小企業診断士・ファイナンシャルプランナー)
テーマ 法人経営者のための事業承継対策セミナー
開催時期 平成25年8月27日(火)13:30~16:00
場 所 中市コミュニティホール2F会議室A
主 催 アクサ生命保険㈱山口営業所
後 援 山口商工会議所
対 象 中小法人の経営者・後継者および配偶者様(ご夫婦または親子での参加を歓迎します)
主な内容 ①事業承継の基礎知識(事業承継の必要性、事業承継の手法、事業承継の際に問題となる点)
②相続・贈与による承継の基礎知識(相続・贈与税の仕組み、財産評価の方法、株式の承継対策(納税猶予制度の活用など))
※当日使用したレジュメは以下のとおりです。
第1 事業承継の基礎知識
1 事業承継とは何か
① 経営力
② 自社株式
③ 事業用資産
2 事業承継のメリット
① 経営者家族
② 後継者
③ 会社関係者(株主,従業員,取引先)
3 事業承継対策をしないとどうなるか
【具体例】
① 自社株式が分散した事例
② 経営力が分散した事例
4 事業承継の手法
① 親族内承継
② 従業員などへの承継
③ 第三者への承継(M&A)
具体的方法
5 事業承継の際に問題となる点
第2 生前贈与,遺言による承継の基礎知識
1 生前贈与,遺言による承継とは
ⅰ 生前贈与による承継
ⅱ 遺言による承継
2 税金の仕組み,税金対策
ⅰ 贈与税
① 暦年課税制度
贈与税額=(贈与価格-基礎控除額)×税率-控除額
贈与価格:1月1日~12月31日までの1年間に贈与された価格の合計
基礎控除額:毎年110万円
【贈与税(暦年課税制度の場合)の税率表】※平成27年1月1日以降は税率構造が変わる
基礎控除後の課税価格
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税率
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控除額
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200万円以下
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10%
|
‐
|
200万円超~300万円以下 |
15%
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10万円
|
300万円超~400万円以下 |
20%
|
25万円
|
400万円超~600万円以下 |
30%
|
65万円
|
600万円超~1000万円以下 |
40%
|
125万円
|
1000万円超~
|
50%
|
225万円
|
② 相続時精算課税制度
贈与時には軽減された贈与税を納付し,相続時にまとめて相続税で精算する制度
→ 2500万円まで:非課税
2500万円を超える贈与:一律20%の税率による贈与税
【暦年課税制度と相続時精算課税制度の概要】
区分
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暦年課税制度
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相続時精算課税制度
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概要
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暦年(1月1日から12月31日までの1年間)ごとにその年中に贈与された価格の合計に対して贈与税を課税する制度
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将来相続関係に入る親から子への贈与について,選択制により,贈与時に軽減された贈与税を納付し,相続時に相続税で精算する制度
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贈与者
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制限なし
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65歳以上の親(父・母ごとに選択可)
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受贈者
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20歳以上の子(兄弟姉妹ごとに選択可)
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選択
の届出
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不要
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必要(一度選択すると相続時まで継続適用)
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控除
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基礎控除額(毎年):110万円
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特別控除額:2500万円
(複数年にわたり使用可)
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税率
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基礎控除額を超えた部分に対して,10%~50%の累進税率 |
特別控除額を超えた部分に対して,
一律20%の税率
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適用手続き |
贈与を受けた年の翌年3月15日までに贈与税の申告書を提出し,納税 |
選択を開始した年の翌年3月15日までに,本制度を選択する旨の届出書を提出
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相続時精算 |
相続税とは切り離して計算(ただし,相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算) |
相続税の計算時に精算(合算)される。(贈与財産は贈与時に時価で評価される)
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※平成27年1月1日以降:①贈与者の年齢要件が60歳以上に引き下げられる
②受贈者の範囲に,20歳以上の孫が追加される
ⅱ 相続税
基礎控除額=5000万円+1000万円×法定相続人の人数
※ 平成27年1月1日以降は,「3000万円+600万円×法定相続人の人数」
① 課税価格の計算
(各相続人が取得した財産+生命保険金+死亡退職金)
-(亡くなった人の債務+葬式費用)
+(相続開始前3年以内に亡くなった人から贈与を受けた財産)
= 課税価格
② 課税遺産総額の計算
課税価格の合計-基礎控除額=課税遺産総額
③ 法定相続分による各相続人の取得金額の計算
課税遺産総額×各人の法定相続分=法定相続分による各相続人の取得金額
④ 1人分の相続税額の計算
法定相続分による各相続人の取得金額×税率=相続税額
⑤ 相続税の総額の計算
各相続人の相続税額の合計=相続税の総額
⑥ 各相続人の納付税額の計算
相続税の総額×実際の相続分割合=各相続人の納付税額
【具体例】 課税価格2億円,相続人:子2人の場合
2億円-(5000万円+1000万円×2)=1億3000万円(基礎控除後の課税価格)
1億3000万円×1/2=6500万円(各相続人の取得金額)
6500万円×30%-700万円=1250万円(1人分の相続税額)
1250万円×2=2500万円(相続税の総額)
→ 2人合計で,2500万円の相続税を納付する必要あり
【相続税の税率表】※平成27年1月1日以降は税率構造が変わる
基礎控除後の課税価格
|
税率
|
控除額
|
1000万円以下
|
10%
|
‐
|
1000万円超~3000万円以下 |
15%
|
50万円
|
3000万円超~5000万円以下 |
20%
|
200万円
|
5000万円超~1億円以下
|
30%
|
700万円
|
1億円超~3億円以下
|
40%
|
1700万円
|
3億円超~
|
50%
|
4700万円
|
【相続税の負担額早見表】 単位:万円
遺産総額
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配偶者がいる場合
|
配偶者がいない場合
|
子供の人数
|
子供の人数
|
1人
|
2人
|
3人‐
|
1人
|
2人
|
3人‐
|
1億円
|
0
|
0
|
0
|
600
|
350
|
200
|
2億円
|
500
|
380
|
325
|
3900
|
2500
|
1800
|
3億円
|
2700
|
2147
|
1867
|
7900
|
5800
|
4500
|
4億円
|
4900
|
4050
|
3525
|
12300
|
9800
|
7700
|
5億円
|
6900
|
5850
|
5257
|
17300
|
13800
|
11700
|
ⅲ 相続税対策
a 基礎控除を増やす
b 債務・葬式費用を増やす
c 非課税財産を増やす
3 株式の承継対策
ⅰ 自社株式の株価を把握する
① 類似業種比準方式
② 純資産価額方式
ⅱ 株価の引き下げの方法
→ ポイント:
a 役員報酬の増額,役員退職金の支給
b 特別配当,記念配当の活用
c 不良資産の売却,不良債権の処理
d 償却資産の取得
e 生命保険をかける
f 高収益部門の分離(会社分割等)
g 中小企業投資育成会社への第三者割当増資 etc
ⅲ 納税猶予制度の活用
a 贈与税の納税猶予制度
b 相続税の納税猶予制度
c 主な適用条件
4 生前贈与・遺言による承継において留意すべき点
ⅰ 遺留分をめぐる紛争
ⅱ 遺留分対策
① 議決権制限株式などの種類株式の活用
② 経営承継円滑化法(遺留分に関する民法の特例)の活用
a 除外合意
b 固定合意
c 条件
第3 専門家に相談するにあたり留意すべき事項
1 何を相談するか
2 いつ相談するか
3 誰に相談するか
4 専門家の使い分け
税理士・公認会計士:
弁護士:
司法書士:
ファイナンシャルプランナー:
中小企業診断士:
2013年8月27日
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カテゴリー:講演・セミナー |